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産婦人科の研修

1.研修概要

 当院産婦人科は一時期常勤医不在にて分娩の取り扱いを中止していましたが、平成18年4月より常勤医一名が着任し、周産期医療を中心とした産婦人科診療を再開しています。DSC_0015.JPG
 周産期領域では妊婦健診・ローリスク妊婦の分娩管理はもちろんのこと、当院の内科・小児科との連携のもとミドルリスクの切迫早産、妊娠糖尿病、甲状腺機能異常など合併症のある妊婦の母児管理も行っております。年間150〜180件程度の分娩を取り扱っておりますが、このうち帝王切開術は胎児徐脈などでの緊急手術例や既往帝王切開妊娠や骨盤位による選択的手術例を併せ約20%の症例で行っています。全体としての症例数はけっして多くはありませんが、平成27年の分娩数は193件あり一般的な周産期医療を経験していただくことは十分可能です。
 婦人科では月経不順や月経困難症、不正性器出血の診断治療、更年期障害の治療、子宮筋腫や卵巣嚢腫、子宮内膜症などの良性疾患の保存的治療、子宮脱や頻尿・尿失禁の保存的治療などの外来診療を主に経験していただきます。子宮頸癌予防ワクチンの普及が滞っている中、前癌病変である子宮頸部上皮内腫瘍の患者さんは増加しており、この病変に対する子宮膣部円錐切除術は当院にて行っています。また、婦人科悪性腫瘍の初期治療後の抗がん剤治療やフォローアップも当院において行っています。
 しかしながら、当院においてのみでは十分な症例を経験し幅広く研修することは困難です。日本専門医機構により2016年度から開始される新専門医制度に対して、日本産科婦人科学会でも大学病院のような研修基幹施設が研修施設群を形成し、そこで作成された研修プログラムに基づいて産婦人科専攻医を専門医資格取得まで支援するシステムの構築を進めています。当科は浜松医科大学産婦人科を基幹施設とする研修施設群に属し、その専門研修連携施設となります。したがって、当科からも産婦人科専攻医が、この研修プログラムに沿って研修基幹施設などでの研修も併せて行うことによって、産婦人科専門医の資格取得も可能となります。

2.当院の特徴

 総合病院である当院には、小児科をはじめ、外科、循環器科、糖尿病代謝科などにも常勤医が揃っており産婦人科医としては心強い限りです。帝王切開術も小児科医の立ち会いのもと、麻酔科管理で外科医の協力も得て行っています。しかし、産婦人科のみならず小児科もスタッフが少ないため、新生児管理は軽症疾患に限られています。したがって、妊娠34週以前の早産切迫症例や胎児異常症例は、静岡県立こども病院などの周産期センターと連携して、随時母体搬送を行うなどの管理も行っております。

3.産科医不足について

 平成16年度の医師研修制度の改定以降、「産婦人科崩壊」や「お産難民」といった言葉で産婦人科医不足がマスコミにも取り上げられ、地方都市のみならず大都市においても産婦人科医療、特に周産期医療は深刻な問題として論じられております。日本の産婦人科医療の将来を守るべく、日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会も熱心に政府に働きかけ、産科診療報酬の改正や激務とされる産科医の待遇も改善されつつあり、最近は新規産婦人科医が増加に転じつつあります。しかしながら、増加しているのは大都市圏であり、現実には静岡県の産科医不足はまだまだ深刻な状態が続いており、当院のある島田市の人口10万人の医療圏においても産婦人科医は、開業されている先生1人と私の2人だけです。
 静岡県は全国の都道府県の中でも10番目に人口が多く、まだまだ産婦人科医は不足していて、産婦人科医であることに希少価値があり喜ばれる地域です。今のところ当院の産婦人科はパワー不足ではありますが、県内には各領域のスペシャリストの揃った研修病院も多くあります。学会などが多く開かれる首都圏や近畿圏にも1〜2時間で行くことができ、気候温暖・風光明媚な土地です。皆さん、こんな静岡県で、産婦人科医を目指してみてはいかがでしょうか。
 テレビドラマ化された「コウノドリ」をみられて感動された方も多いと思います。実際、産婦人科では母児の命に関わる緊急事態も多いのですが、新たな生命の誕生を妊婦さんと共に喜ぶことができるとてもすばらしい仕事です。周産期医療の他にも、婦人科腫瘍治療、生殖内分泌医療、性器脱・尿失禁などを扱う骨盤底外科と診療内容も多岐に及び、とても魅力ある診療分野です。産婦人科診療を「きつい」「汚い」「危険」の3Kといったマイナスイメージを持たれている方もいるかと思います。しかし、大変な反面それを乗り越えた時の喜びもあり、非常に‘やりがい’を感じることのできる仕事です。この‘やりがい’が仕事を継続していく上でのモチベーションの向上につながる重要なポイントとなります。一人でも多くの先生がこの診療分野を体験され、そして専攻されることを願ってやみません。