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病理診断科

もう一人の見えざる主治医として治療に貢献します。

 2009(平成21)年度から当院の診療科として標榜するに伴って名称が臨床病理科から病理診断科に変更となりました。当科の業務内容は日本ではあまり知られていませんが、病院の「診療部門」の一つで、病理専門医は、細胞検査や診断用顕微鏡標本の作製などを業務とする臨床検査技師と共に病理診断業務を行っています。
 医師は、診断や治療のために、胃、大腸、肺などの内部を観察する内視鏡検査や手術によって組織や臓器を摘出することがあります。また、痰や尿、体の中に異常に貯まった水分の中の細胞を検査することもあります。これらの採取された組織、臓器や細胞から作成された顕微鏡標本を元に病気を診断するのが病理診断科です。
 適切な治療のためには病気を正しく診断することが前提です。正しく診断するために、主治医は血液検査やレントゲン検査などのいろいろな検査を行います。それらの検査の中に生検(せいけん)という病変部の組織や細胞を少し採取する検査があり、採取された組織や細胞を顕微鏡で観察して病気を診断するのが病理検査です。つまり、組織や細胞の形から病気を判断するのが病理診断です。
 病理専門医及び細胞検査士は、病理組織診断や細胞診断のスペシャリストです。

病理診断について

 病理組織標本は固定(人から離れた細胞、組織は徐々に壊れてしまうので、それを防ぐためにホルマリンという固定液に入れます)、包埋(薄く切るために、パラフィンとよばれるロウの中に入れて固めます)、薄切[ガラスの上に貼り付けるために3~4マイクロメーター(1000分の1ミリメーター)程度に薄く切ります]、染色(細胞に色をつけて見やすくします)という過程を経て作られます。通常、内視鏡などで採られた小さな組織は1、2日で、手術で切除された胃などの大きな組織は1週間程度で標本となり診断されます。
 細胞や組織の形からの診断と言うといかにもいいかげんと思うかもしれません。しかし例えばある人を見て、私達はその人が黄色人種か白人か黒人か、もし黄色人種ならば日本人か否かおよそ見当がつきます。性別に関してはほぼ100%間違わずに判断できるでしょう。これは、体格、肌や髪の色、目の色、髪の長さ、肌の色やきめ、胸の膨らみ、さらには服装など、その人のあらゆる形態的特徴を観察し、自分のこれまでの経験と照らし合わせて判断しているからです。この例と同じように、顕微鏡によって詳しく観察すれば、その組織・細胞の性格は十分判断出来ます。これには経験が必要ですが、熟練した病理診断医・細胞検査士が鏡検すれば、悪性か良性か、癌か否かは、100%とは言えないまでも95%から99%は判断可能です。

 しかし中には判断の難しい症例もあります。この場合は通常の染色に加えて、免疫組織化学染色、電子顕微鏡による検鏡などの検索も追加し、さらに国立がんセンターCIS病理診断コンサルテーション・サービスを利用して他の病理専門医のセカンドオピニオンを得ることによって正しい診断に至るべく努力しています。

 また、手術中に切除した臓器の辺縁部に癌が及んでいるか否か、リンパ節などの他の部位へ癌が転移していないかなどを、凍結標本を作ることによって手術中に迅速に診断し、通常10~15分程で手術場へ報告します。この病理診断科の迅速診断によって、執刀医は安心して手術を進めることができます。迅速診断の結果によって適切な手術手技が決定されます。
 手術で摘出された臓器も病理診断科で検査されます。術前の臨床診断を病理形態的に再確認すると共に、悪いところが完全に取られており、取り残しがないかどうか、リンパ節に転移がないかどうかなども病理診断医が調べます。手術材料の病理診断が出て、初めてその後の治療計画が策定可能になるといっても過言でありません。
 残念ながら治療の効なく不幸にして患者さんが亡くなられた場合には、主治医が病理解剖(剖検)の許可をお願いすることがあります。剖検も病理診断科の大切な仕事です。剖検とは、「どうしてこういう症状がでたのか?」とか、「どうして患者さんは亡くならねばならなかったのか?」とか、「治療効果は十分あったのか、治療法は正しかったのか?」などの疑問に対して、病理形態学的解析によって回答することです。どんなに画像診断や特殊な診断技術が向上しても、実際に身体を隅々まで調べることは出来ません。剖検によって初めて確かめられる事実はまだまだ多くあります。もちろん剖検したからといって亡くなられた患者は戻らないのですが、剖検によって明らかになった事実が主治医の貴重な経験となり、よりよい医療に結び付きます。つまり、剖検はその病院の医療の質を保証する大変重要な業務なのです。
 当院病理診断科には、常勤の病理診断医2名(厚生労働省認定死体解剖資格取得医2名・日本病理学会認定病理専門医 兼 日本臨床細胞学会認定細胞診専門医1名)と、臨床検査技師6名(うち細胞検査士4名)が所属し、皆様の適切な治療のために病理診断を行っています。



解剖体制

 現在当科では、2名の病理診断医とも、厚生労働省認定死体解剖資格を取得しています。病理解剖は24時間受け付けており、病理診断医および担当検査技師が解剖を行います。統計にも示しているとおり、年間10件以上の経験が可能です。

臨床病理カンファレンス

 毎週下記のごとく、臨床科と病理診断科とで合同の病理組織カンファレンスを開催しております。病理診断精度管理・医師教育に役立てています。

 
午前

泌尿器科カンファ

午後







呼吸器科カンファ 腎生検カンファ


byourishindan-kanfa201104-1.jpg皮膚科カンファレンスbyourishindan-kanfa201104-2.jpg呼吸器科カンファレンス

職名 氏名 卒業年 学会専門医資格等 備考
主任医長
橘 充弘

H11

日本病理学会認定病理専門医
日本病理学会認定病理専門医研修指導医
日本臨床細胞学会認定細胞診専門医/教育研修指導医(暫定)
死体解剖資格認定(病理解剖)
医学博士
日本病理学会・学術評議員

日本病理学会・日本臨床細胞学会・IAP日本支部
日本臨床外科学会・日本乳癌学会

非常勤 中島直樹 H21

 
 
非常勤 竹井雄介 H20

 
 
非常勤 小杉伊三夫


 
 
非常勤 三浦克敏


 
 

■病理統計


2008年

学会発表
1) 胆汁細胞診の診断に苦慮した胆道内蛔虫迷入症の1例
 植野辰雄、橋本裕美、中島和浩、曽根玉恵、大石直樹、岩嶋佳子、橘 充弘、南口早智子
  静岡県寄生虫症研究会・第13回総会, 9/13 2008,浜松

2) 甲状腺異型腺腫の2例-異型腺腫は本当に良性病変か?正確な細胞診をめざして」
 橘 充弘,橋本裕美,曽根玉恵,大石直樹,植野辰雄,白瀬智之,元雄良治
  日本臨床細胞学会秋期大会 11/14 2008

2009年

学会発表
1) 癌転移巣との鑑別診断に難渋したALK陽性未分化大細胞型リンパ腫の1例.―免疫細胞化学染色の落とし穴―
 橘 充弘
  第224回静岡病理医会(SPS), 4/11, 2009,浜松

2) 悪性中皮腫の1例.
 橋本裕美
  平成21年度日本臨床細胞学会静岡県支部秋期学術集会, 10/24, 2009


2010年
学会発表
1) 内膜細胞診にて推定しえた子宮内膜微小腺管型粘液性腺癌の1例.
 橋本裕美,植野辰雄,橘 充弘,曽根玉恵,大石直樹
  第51回日本臨床細胞学会総会(春期大会), 5/29-31, 2010,横浜.

2) 管腔内crystalloids を認めた乳癌の2例-本邦初の報告例-.
 橘 充弘, 磯野忠大, 中山裕子, 上村和康, 熊本浩志 ,國友和善, 西原弘治
  第18回日本乳癌学会学術総会, 6/25, 2010,札幌.


3) スライドカンファレンス・症例提示「胆道回虫症胆汁の細胞像」.
 植野辰雄,橋本裕美,曽根玉恵,大石直樹,橘 充弘
  日本臨床細胞学会静岡県支部・秋期学術集会, 10/23, 2010, 静岡

4) 穿刺吸引細胞診で推定しえた破骨細胞様巨細胞を伴う嚢胞内乳頭状乳癌の1例.
 大石直樹,橋本裕美,曽根玉恵,植野辰雄,橘 充弘

  第49回日本臨床細胞学会秋期大会, 11/21-22, 2010,神戸.

和文論文
1) 甲状腺異型腺腫 (atypical adenoma) の2例―異型腺腫は本当に良性腫瘍か?―
 橘 充弘,橋本裕美,曽根玉恵,大石直樹,植野辰雄,元雄良治
  日本臨床細胞学会雑誌, 49巻 3号. 2010, (2010年5月)

2) 膀胱原発浸潤性微小乳頭型尿路上皮癌の1例.
 橘 充弘,大石直樹, 橋本裕美,曽根玉恵,植野辰雄
  日本臨床細胞学会雑誌, 49巻 3号. 2010, (2010年5月)

3) 穿刺吸引細胞診が有用であった乳腺原発印環細胞癌 の1例
 橘 充弘,大石直樹,橋本裕美,曽根玉恵,植野辰雄
  日本臨床細胞学会雑誌, 49巻 4号. 2010, (2010年7月)

4) 皮膚表皮嚢胞に生じた扁平上皮癌の1例-当院5年間の発生頻度を含めた検討-
 橘 充弘,岩井伸也,寺井 勉
  診断病理,27巻 4号.2010, (2010年10月)


2011年
学会発表
1) Collagenous stroma を伴う集塊を多数認めた悪性中皮腫の1例
 橋本裕美、曽根玉恵、大石直樹、植野辰雄、橘 充弘
  第50回日本臨床細胞学会秋期大会 2011, 10.23 東京


和文論文
1) 穿刺吸引細胞診で推定しえた破骨細胞様巨細胞を伴う乳癌の1例
 橘 充弘、大石直樹、橋本裕美、曽根玉恵、植野辰雄
  日本臨床細胞学会雑誌 2011; 50: 240~241.

2) 管内結晶様物質を伴った乳腺cystic hypersecretory carcinoma の1例
 橘 充弘、磯野忠大(外科)、中山裕子(外科)、木村貴彦(外科)
  診断病理 2011; 28: 54~57.

2013年
学会発表
1) AFP産生肝内胆管癌の1剖検例
 寺本祐記、橘 充弘、児玉圭太(循環器科)、金森範夫(循環器科)
  第102回日本病理学会総会、2013年6月8日、札幌

2) ALK陽性肺癌の1例
 寺本祐記、橘 充弘、曽根玉恵、植野辰雄、橋本裕美、大石直樹、住友亮太(呼吸器外科)、奥田雅人(呼吸器外科)、小林 淳(呼吸器外科)
  第52回日本臨床細胞学会秋季大会、2013年11月2日、大阪

3) 口腔領域における扁平苔癬の細胞像
 大石直樹、橋本裕美、曽根玉恵、植野辰雄、寺本祐記、橘 充弘
  第27回日本臨床細胞学会関東連合会学術集会、2013年9月7日、千葉

和文論文
1) 副腎髄質原発支持細胞腫(sustentaculoma) の1例
 橘 充弘、寺本祐記、増井仁彦(泌尿器科)、沖波 武(泌尿器科)、福澤重樹(泌尿器科)
  診断病理 2013;30:191-196.

2) 線維上皮性ポリープ様変化を伴った気管支内骨軟骨過誤腫の1例
 寺本祐記、橘 充弘、住友亮太(呼吸器外科)、小林 淳(呼吸器外科)、菅沼秀基(呼吸器内科)
  診断病理 2013;30:208-210.

3) 口腔粘膜正角化型異形成(Orthokeratotic dysplasia)の2例
 寺本祐記、橘 充弘、植野辰雄、曽根玉恵、橋本裕美、大石直樹
  日本臨床細胞学会雑誌[in Press]

2014年
学会発表
1) Cytokeratin17免疫細胞化学染色が有用であった口腔原発疣状癌の1例
 寺本祐記、橘 充弘、大石直樹、植野辰雄、曽根玉恵、橋本裕美
  第55回日本臨床細胞学会総会(春期大会)、2014年6月5日~6月7日、横浜

2) 口腔擦過細胞診における,陰性コントロール採取による診断精度向上への取り組み
 橘 充弘、寺本祐記、大石直樹、橋本裕美、植野辰雄、曽根玉恵
  第28回関東臨床細胞学会学術集会、2014年9月13日、静岡

文責 病理診断科
最終更新日 2017-03-31